子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

ぼくらのたからばこやさん

発達障害児、苦手の指導法は大人のアイデアにある!①

「ふわふわして、ずっとだっこしていたいかんじ」①

発達障害の子どもたち、もちろん大人たちにも、「力の加減がわからない」という悩みを持った人がいます。自分のねんど作品を掴んでは壊し掴んでは壊しで一向に完成しないと嘆く少年や、なぜか自分だけ触ってはいけないもの増えていくと悲しむ少女を見てきました。触れる、という行為は曖昧で、それでいて苦手が相手に顕著に伝わります。幼い頃からトレーニングできていれば……と苦笑いする大人。この子には同じ思いをしてほしくない……と願う親御さんも、次の方法を少し試してみてください。

 

「はるちゃん、おれはうさぎをうまくだっこできない。」

小学3年生の深月くんが、ある日ぼくに言いました。詳しく聞いてみます。そうかぁ、うまくだっこできなかったんだね。でもどうしてそう思ったの?

深月くんはぽつりと語ります。下級生のウサギ当番を手伝おうとしてウサギに触ったが、自分だけ1羽もつかまえられなかった。抱っこしていいよと言われ渡されたが、ウサギは自分の抱っこだけやたらと嫌がった。俺はウサギに嫌われとる。というお悩み。

元々深月くんの特性として、「力の加減が苦手」「ほどほど、が苦手」というものがありました。ふざけて友達の上にドーンと乗っかっては喧嘩をしたり、完璧に終わったと自分で判断できないうちは何があっても切り上げることができなかったりなどの特性です。ぼくは「もしかしたら、ウサギに対しても力が強いのでは?」と考えました。深月くん、ウサギ人間よりも柔らかいでしょう?だからできるだけそっと触らないと、指が刺さって痛く感じてしまうんだよ。深月くんのことが嫌いなわけじゃなくて、ただ痛いのが嫌なんだよ。次は抱っこできるように練習してみようか。

こくりと頷いた深月くんと一緒に作るのは、これです、紙風船。

誰もが1度は見たことありますよね。遊んだことのある方は、その触り心地と手の上ではねる不思議な感覚もお分かりいただけるかと思います。深月くんの力を制御する訓練をする!まずは装備を整えよう!はちびっこにとって魔法の小芝居。「いえっさ!!」と敬礼をして元気に駄菓子屋さんへ行ってきました。少々の食料もいっしょに調達。

部屋に帰って、さっそく風船を膨らませます。ふぅ!ふぅ!とほっぺをぽんぽんにして膨らませる姿が愛らしい。深月くんが紙風船みたい。はっはっは。おっと殴らないで痛い痛い痛いごめんよ笑ってはっはっはっはっ超絶可愛いはっはっはっはっ。あれ深月くん、何個も膨らますうちに吹くのは絶妙なパワーがわかってきたみたい。上手い上手い。

さてさてこの紙風船、力の加減がうまくできないと……ほら、すぐにくしゃっとしぼんでしまいます。ビニールボールのように長くラリーを続けようと思うと、力加減を考えるのは必須事項。しかも手に当たるまでに絶妙な力を考え、当たるときに絶妙なパワーをもって打たなければならんという、意外と難しい遊びです。

ぼくらの目標はラリー10回。10回続いたらひとつチョコがもらえる!という景品つきのゲームです。えぇ、チョコは駄菓子屋さんで買いました、えぇ、うんこのかたちのやつです。

深月くんに話したことは1つだけ、「紙風船がつぶれないように考える」です。いくつも考えることがあるとどれもできなくなってしまい失敗体験を重ねてしまいます。子どもに与える課題はひとつずつが基本。しかも今回は、つぶれないように考えることが課題なので、もしつぶれてしまっても「考えて打てた」ならば成功なのです。


さぁ、準備は整った!次回へつづく。