「苦手があるのは当たり前やん」
多学年が一緒に遊ぼうと思うと、
歳上も歳下も楽しく遊べるように工夫をすることが必要です。
歳下にはちょっとルールを甘くしたり、手加減したり。
ハンデをあげると同時に、歳上の子たちに制限をかけなければなりません。
そんな時、子どもたちは年齢と能力の差を、どうやって理解し納得していくのでしょうか。
成長と納得を垣間見られた瞬間をご紹介します。
外で鬼ごっこをやりたい、小学校3年生3人組。
ハルせんせーを入れても4人……ではちょっと少ないから、他にもやりたい人を呼んでみようか。
3人の元気な
「おーにごっこすーるひとー!」
の掛け声に、校庭にいたたくさんの子どもたちが集まってきました。
小学校1年生の女の子、5年生の男の子、中学生もいます。
運動神経がいいスポーツマンから、特別支援学級の自閉症うーくんも、仲間に入れてと集まってくれました。
リーダーシップを取ってくれたのは、5年生の男の子でした。
「色んな人がいるから、ルール決めとこう」
いいね、と続けて、4年生のスポーツ万能女子が言います。
「1年生と2年生は、バリアが使えることにしよう!」
5年生の男の子も
「じゃあ10秒バリアができることにしよう。1、2年生を追いかけるときは、強くぶつからないように気をつけないと。」
と賛同。
回りのみんなもいいよー!と納得。
歳下が能力的に敵わないこと、一般的に力が弱いことを、日常生活の中で学んできた証です。
他にも、中学生は鬼になったら両手でタッチしなければならないこと。
3年生以上は、鬼になったとき挟みうちしないことを決めました。
さてここからです。
特別支援学級の6年生、うーくんを巡って、子どもたちの議論が白熱します。
運動会や休み時間などで、うーくんが走ることを得意としないとみんな知っていました。
ぼくは、この場を見守ることに決めました。
子どもたちに任せても大丈夫だと、なぜかそんな気がしたのです。
2年生の男の子が言います。
「うーくんは6年生だからハンデなし?」
下級生たちはこの子に賛同しました。
ぼくはどうなるかなぁと見守りに徹しています。
にこにこするうーくんのそばで、ぼくもにこにこしてました。
すると、4年生の女の子が
「うーくんは走るのが苦手だから、バリアがあってもいいじゃん」
と提案します。
高学年女子の大半はこの意見に賛成。
さらにハンデをつけようと、うーくんに対しては本気で走らない、というような制限を追加で提案しています。
うーくんはみんなと同じにできるまで、多少多目に時間がかかるのだということを理解できる子どもたちです。
でも、ほんとにそれでいいのかな。
そろそろハルせんせーも議論に参加した方がよいだろうか。
そう考えるぼくのとなりで、うーくんは何か言いたげにそわそわ。
よーし、大人の出番だ。
そう思って「はーいちょっとストップ!」と言いかけた時、
うーくんと同じ歳で、かつ協力学級の6年生男子が流れを変えました。
「待ってみんな、うーくんおいていってる」
ぼくは思わず黙ります。
皆もおぉ、という顔をしています。
果たしてこの後どうなるのでしょう。
次回へ続く!