「パパがにっこりわらうところがよかった」
休日の自由時間や就寝前に、
「絵本読んでー」
とせがまれることがあります。
誰か1人に向かって読んでいたはずなのに、年齢関係なくいつの間にか集まって10人になっている、なんてことも。
読み聞かせている絵本は同じでも、それぞれ違う感想を抱くのは当たり前ですが、
小学校で聞く感想と、児童養護施設で聞く感想には偏りがあることに気づきました。
一般家庭で育っているの子どもたちと、家族と離れて暮らしている子どもたちの発達する場所の違いにご注目ください。
ちなみに、全員小学3、4年生の感想に限っています。
【両親への感想】
主人公の両親や祖父母が出てきて、なんらかのアクションをとったときの感想です。
例えば、主人公のパパとママが出てきて、お手伝いをしたご褒美として主人公におやつをくれたという場面。
●小学校で読み聞かせた場合
「ママがおやつをくれてやさしい」
「お手伝いをしたから誉められて、ママも主人公もうれしい」
「パパがにっこりわらうところがよかった」
など、両親の良いところ、自分にとって得なことに目がいくようです。
本が好きな子は読解力にやはり優れ、
「多分ママはお手伝いしなくても、主人公のためにおやつ作ってくれてたんだと思うよ。褒めたいから、ご褒美ってわざと言ったんだよ」
という読み解きをした子も。
これが国語や道徳的な成果なのか、ご家庭での育ちがあたたかいのかは不問としてください。
●児童養護施設で読み聞かせた場合
「俺はグミが食べたい」
「私は手伝いいつもする」
など、物語や両親は1度置いておいて、自分の意見を述べる傾向にあります。
主人公と比較し、自分の方が優れていると認証欲求をみせる子も多いです。
また、なんでパパがにっこりしたのか解らない子もいました。
ママのお手伝いをした主人公、パパにとって良いことはなかったのに、 なぜ笑ったのか解らないのです。
両親に対して感想が出づらいのは、自分に馴染みのない事柄であるという点でコメントできないのだと感じました。
自分をアピールしないと、大人にかまってもらうことができないのが児童養護施設です。
人手が足りていませんから。
いついかなるときも、
「私はこうだよ」
「ぼくはこうするよ」
と、自ら意見を言うことが施設の子どもたちには求められ、そしてその力が自然と出るほど育っているのだと思います。
あくまでもぼくの主観であり、検査をしたわけでも実験をしたわけでもありません。
聞き流すくらいのお気持ちでご覧いただけると幸いです。
子どもたちは、集団ごとに異なった色を見せます。
環境によって思考や嗜好が左右されるという説、ぼくは身に染みて感じています。