子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

ぼくらのたからばこやさん

子どもの自尊心が高まる添い寝のお話

「今日も おれは がんばったんだね」

寝るときは誰かに側に居てほしい、眠いときは人恋しくなるというとき、大人にもありますよね。児童養護施設や病児保育の現場では、「いっしょにねて!」「おとながいないとねれない!」という声は珍しくありません。保育園のお昼寝の時間にもよくある光景なのではないでしょうか。

 ぼくも子どもの頃、父の背中や腕に額をつけて寝ると早く眠れた覚えがあります。母は妹に付きっきりだったので、一緒に寝た記憶はあまりありません。でも同じ部屋に居て、大人の存在を感じていられることで、一人のときよりも格段に安心感がある。子どもってそういうものなんでしょうね。

 

小学4年生の龍哉(りゅうや)くんは、アスペルガーの男の子です。障害の診断を受けてはいますが、普通学級で日々学んでいます。人との関わりが苦手で、よくトラブルになり、先生にも友達にも怒られて……自尊心は今にも崩れそう。とにかく自分を認めてほしくて毎日甘えが強く出ます。

龍哉はいつも一人で眠れるのですが、この日は甘えの延長で「ハルくんがいないとねない」と駄々をこねます。職員さんに了解をもらって、少しならという約束で添い寝をすることになりました。

暗い部屋で龍哉とふたりきりになるのは、ぼくの職員生活で初めてでした。龍哉は眠るのが得意ではなく、話し相手がいるとわかると間断なく話し続けてしまいます。休み時間にあったことや宿題のこと、学校の行事のこと、なんとなくイライラしたこたを吐き出すように矢継ぎ早に話をして来ます。一旦区切って、ちょっと落ち着こうと深呼吸をさせる。アスペルガーの子は、自分でブレーキをかけることも苦手分野ですから。

 

ハルくんよくわかった、今日も1日、龍哉はたくさん頑張ってきたんだね。偉いね、毎日偉いね。

 

ぼくの言葉を聞いた龍哉は、今までに見たことのない表情を浮かべました。泣きそうで、笑いそうで、叫び出しそうな、形容しがたい顔です。あれ、地雷踏んでしまったかな、とぼくは内心ドキドキ。そっと頭を撫でます。

すると龍哉はひとつ、大きく「はぁーっ」と息を吐きました。そして天井よりもっと、もっと上の方を見ているような瞳で

「そうかぁ、おれ今日もがんばったんだね」

と言いました。

安堵と共に自己肯定が沸き上がったのか、そこからは前向きで楽しい話がたくさん。将来の夢も話してくれました。

子どもと一緒に1日を振り返り、反省と感想を言い合って。その日に何があったとしても「今日のがんばり」を認めて褒めることが、子どもの1日の終わりには必要かもしれないと感じた出来事でした。

障害の有無に関わらず、子どもの何気ない行動のなかにある絶え間ない努力を見つけていきたい。そして子どもの自尊心を底上げして、自分はがんばった!と自身を認められる自信をつけてあげたいものです。

一通り楽しい話をして喋り疲れたのか、すやすやと寝息をたてる龍哉の顔を見ながら、ぼくはそう思うのでした。