子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

ぼくらのたからばこやさん

発達障害児は悩みも多いが褒めるチャンスも格段に多い

 「ママが“できたね!”っていった!できた!」

発達障害を持った子どもたちは、大人に叱られたり、社会に適合できず嫌な思いをしたり、できない自分に腹をたてたり……。提携発達の子どもよりも自己肯定感が低いという統計が出ているそうです。
ぼくもそれはひしひしと感じています。
自閉症の新菜(にいな)ちゃんは、「にーなは、できないから」が口癖です。また、ご両親の口癖も「新菜にはできないな~」でした。


ぼく、これご両親の娘肯定感も一緒に上げることが必要だと考えました。ご両親ひどい!新菜はできるのに!と否定するのは簡単です。しかし、ご両親はご両親のなかで葛藤や諦めがあり、うちの子はうちの子だから、のニュアンスで「新菜はできないかも」の言葉になってしまったのだと感じました。これはいかん。
新菜は能力的にもできることなのに、今まで「新菜はできないかもな~」などと言われてきた経験から自己肯定感を失い、始めること自体が怖くなってしまっています。
ご両親は過度な期待をせず、自らを戒するためにこの言葉を使います。
これはいかん。悪循環だ。どうにかせねば!   ぼくと新菜の出会いは、療育施設でした。当時小学2年生だった新菜は、視線こそ合いませんがきちんと挨拶や会話のできる「できる子」です。知的に遅れがあったので、普段は2年生ながら1年生のドリルを復習がてらこなしていました。新菜は絵を描くことが大好きで、それもめちゃめちゃ上手いです。風景画を主に好んで描いてくれていました。鉛筆一本与えれば何時間でも描き続け、細かい建物の模様や看板の文字、さっき歩いていた人の服の色、時計の針なんかも丁寧に描写する「できる子」です。そんな新菜に、2年生の図工の教科書から、ひとつ課題をこなしてもらうことにしました。その際、ご両親にも見に来てもらい、2つのことをお願いしたのです。

  • 新菜が「できない」と言っても、ご両親が新菜はできないかも…と思っても、新菜に「ちょっとやってみなよ」と言ってあげてください。
  • 新菜が何かを達成したら「すごいね新菜!」と大袈裟に誉めてください。


この2つです。ご両親は「達成したタイミングがわからない」と困っていらっしゃったので、ぼくが「すごいよ新菜!」と言ったらそこで一緒に言ってください、目でも合図しますと伝え、「褒め言葉カード」を渡してお願いしました。(※褒め言葉カードとは、ぼくが作った親御さん向けのお助けカード。すごい!えらい!かっこいい!頑張ったね!できたね!さすがだね!強い!賢い!頭いい!大好き!など、一言で褒められるワードを集めたカード。ここから選んで褒めてもらい、親御さんの褒めスキルと子どもの自己肯定感を同時にUPさせようというアイテムです。)うまくいくといいなぁ。

さて、療育が始まりました。2年生の教科書が机に置いてあるのを確認した新菜は、すぐにこう言います。
「ハルせんせー、これにーなできないよ。にねんせいはやっちゃだめなの。」
ぼくは言います。
「えぇ?新菜は2年生だし、これやってもいいんだよ。しかもねー、これ、できなくていいんです。そしてね、せんせーもやったことないからできないかもしれん……でも、せんせー新菜とこれやりたいんだ。一緒にやってくれる?」

新菜は少しうつむいて、イスにストンと座りました。よし、OKの合図です。新菜にとって「やるよ」の合図です。

「ありがとう新菜!2年生のやつ、やったことないのに一緒にやってくれるんだね、すごいよ新菜!」

すごいよ新菜!
これはご両親への合図です。果たしてこのあとどうなるのでしょうか?次回へ続く!