子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

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児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

ぼくらのたからばこやさん

児童養護施設の子どもたちと、クリスマスのサンタクロース

「ハルくん、サンタクロースはいつまで居た?」

皆さんのサンタクロースは何歳まで存在していましたか?

サンタクロースは年齢と共に消失し、概念と良心の中の存在になるものだとぼくは感じています。

施設の子どもに教わった、なんともじんわりくるサンタクロース。

「まだサンタクロースはいるよ!」というみんなも、「サンタクロースには昔お世話になったなぁ」なんてみんなも、「実は自分がサンタクロースなんだよ」っていうみんなも、ぼくの話、ちょっとだけ聞いてくださいな。

 

児童養護施設では、たくさんの子どもたちが両親と離れて暮らしています。

一言で「離れて暮らす」と言っても、死別や行方不明でもう交流ができない家庭から、週末には家に帰るなど頻繁に交流が持てる家庭まで様々。

みんなに共通していることは、両親や保護者と別のところから学校に通っているということのみです。

 

とある日、学校の帰り道で、小学校3年生の太成(たいせい)がぼくに言いました。

「ハルくん、サンタクロースは何才までいた?」

正直、驚きました。

質問が「サンタクロースは居るのか」「サンタクロースは誰なのか」「サンタクロースは何処からくるのか」などよくある内容ではなかったからです。

太成の質問は、「サンタクロースはいつまで居たか?」という、サンタクロースの期限を尋ねるもので。ビックリしちゃったよ。ハルくん、それを答えたことがなかったからさ。

面食らったぼくは、それでも一呼吸おいてから、

ハルくんはサンタさんまだ来るよ。と返します。

 

「大人なのに?」

そうだよ、うちのサンタクロースは担当が何人も変わったけど、毎年ハルくんのとこに来るよ。

 

ぼくは毎年誰かしらにプレゼントをもらうとき、サンタクロースだ!と思っています。これが概念的なサンタクロースを信じる所以です。ちなみに両親からもまだもらいますので、大人になってサンタクロースが増えた感じすらしている。家族揃っておめでたい頭です。

ぼくをまんまるビックリのおめめで見上げた太成は、ホントか?とちょっと疑いを含んだ視線を向けてからこう続けます。

 

「へぇ。オレのサンタクロースは、4才のときまでいたよ」

 

太成は4才のときこの施設に来ました。ご両親は蒸発してしまい行方が分からず、唯一の血縁である祖母は交流に消極的。太成は小学3年生にして天涯孤独の身です。

他の家庭がどうかは分かりませんが、太成のサンタクロースはご両親だったそうです。

4才の12月には、まだサンタクロースからのプレゼントが施設に届いていました。しかし、その後、両親からの連絡は途絶え、消息も分からず、必然的にサンタクロースも居なくなってしまった。

太成には、施設の職員からサンタクロースの代わりにプレゼントが渡されましたが、両親が居なくなったことで太成のサンタクロースは居なくなったのです。

 

「オレのサンタクロースは父さんと母さんと一緒に遠くに仕事いってるからさ。オレも一人で大きくなったし、サンタクロースいなくてもハルくんたちがプレゼントくれるし」

 

うん。

 

「でもまたサンタクロース来てくれたら楽しいのになーって思う」

 

そうだね、君は良い子だから、サンタクロースもどこかで見ていてくれるよ。近くに居るかもしれないしね。

太成の選ぶ言葉がじんわり胸に染み、染みたところから徐々に涙になりそうで、ぼくは冷たい自分の手で、あたたかい太成の手をそっと握りました。

 

太成くんのサンタクロース、ぜひ彼に会いに来てください。

あなたの存在そのものが、彼にとって最高のプレゼントです。

どうか、どうか。