子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

ぼくらのたからばこやさん

自閉症の子どもが世界に入れてくれたときの幸せを①

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「小さな両手を受けとめられるあの瞬間が、熱い涙に変わるとき」

 毎日寒い日が続きますが、いかがお過ごしですか。

冷たい空気は痛いほどに澄んで、吐く息が白く空に上る季節。

こんなに寒い日の夜には、あの小さくて、頼りなくて、なのにあんなに幸せをくれる、温かい手のひらを思い出します。

 

冬真っ只中のとある日。平日の朝、人影はなく、ふたりきり。

ぼくは2歳の翔真(しょうま)くんと一緒に公園に来ていました。

砂場へ一目散の彼に、おっとっと、小走りで着いていきます。

 

風は容赦なく頬を刺し、身体を芯から冷やしていきます。翔真の柔い肌は真っ赤に染まり、ぼくの柔くない肌からはひたすら体温を奪っていきました。カサつく……。さむい……。

肩をすくめて下を向きがちなこの季節ですが、子どもの背中を見逃すわけにはいきません。

ぼくの眼前には、ふわふわの小さな頭がひとつ揺れています。

自閉症の疑いがあり、療育に通ってきている翔真くん。

お気に入りのスコップでひたすら砂を掘っている姿は、まるで職人のよう。

シロクマを模したもこもこのアウターを着て、至極真剣にざくざく、ざくざく。

なんて可愛い穴熊さんなんだろう……。ぼくはニマニマしながら翔真の隣に行き、ハルせんせーもやりたいな~なんて言いながら、一緒に穴を掘っていました。

 

翔真のママが療育としてぼくに求めていたのは、「翔真にとって周りの人間が“頼れる存在”であるということを知らせてあげたい」というものでした。

 

翔真は声かけや問いかけに反応がなく、ママにさえ、抱っこを求めることもごく稀です。手を差し出しても見向きもせず、自分一人の世界に生きているように見えるとママは言います。

幼い頃から人と関わりが持てないと、人間関係の土台が作れず、これからコミュニケーションを取るのが難しくなるのではないか。愛着の面でも問題が出てきてしまうと切ない、こんなに翔真を愛している家族がいることを感じて欲しい。

そんなママの願いから、翔真に「自分」と「背景」の他に、ママ、パパ、おじいちゃんおばあちゃん、そしてぼくのようなせんせーという「頼れる存在」を知らせていこうというのがひとまず療育の目的になりました。

具体的には、せんせーのポーズや言葉を真似しよう、とか、ママと楽しく遊ぼう、とか、そういう感じのプログラムです。人とやりとりをすることをまず目標に、ママやパパは、翔真との関わり方を学び、実践中にぼくがアドバイスしながらコミュニケーションをする。

知的な検査はまだ出来ず、自閉症という診断が下るのはもう少し先になそうだが、だからこそその勉強以外を学ぶ今の時期に「頼れる存在」を確認できていることを実感したい、というママの願いがとても強くあったことから決めた目標です。

この目標に向かって少しの間重点的に取り組み、今後の療育に繋げていこうと。

 

さて、場面は戻って砂場の翔真。

次回の記事では実践をお届けします。

 

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