子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

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児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

自閉症の子どもが世界に入れてくれたときの幸せを②

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「小さな両手を受けとめられるあの瞬間が、熱い涙に変わるとき」

 前回の記事の続きです。

 

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自閉症の疑いのある翔真(しょうま)くん2歳が、ぼくを翔真の世界に入れてくれているんだなぁと実感した瞬間。何物にも代えがたい幸せの瞬間。

皆さんにご報告したくて綴ります。

 

とある冬の朝。

公園で砂場に直行し、ざくざく掘り進めるだけの遊びをひたすら繰り返す翔真。

その隣で同じようにざくざくを繰り返すぼく。

そんなふたりの場面からスタートです。

 

穴に腕をいれると、翔真の肩ほどまで入ってしまうくらいの深さになった頃。

翔真はお気に入りのスコップを、自分の作った穴の中に落としてしまいました。

あらー、どうするのかな。

翔真は手のひらに何かが付くのを嫌がります。クレヨンや粘土など、指に付着するものは苦手で、頑なに触ろうとしません。

例に漏れず、手のひらにジャリジャリ付いてくる砂も苦手なのですが、砂場だけは大好き。

その特性を利用し、手のひらに付くものに慣れてもらおうもいうのも今回の公園遊びには含まれています。

 

翔真くん、まず穴の中を覗き込みました。

赤いスコップが、穴にピッタリはまってしまっています。

取り出すためには、砂が付くことを諦めて手を伸ばすしかなさそうです。

 

ぼくは

あぁー、スコップ落ちちゃったねぇ

と何気なく言いました。

 

そのときです。

 

翔真がこちらを振り向きました。

何の問いかけにもほぼ無反応だった翔真が、ぼくの何気ない呟きに反応し、さらに、目が合ったのです。

朝日に照らされてキラッと輝いた翔真の瞳と、冬の風にさらされて赤く染まった彼の頬が突如ぼくの世界に流れ込んで、自分の視界がバッと展開するのを感じる。

 

ぼくはどきり、としました。

それは予測していなかった現象への少しの動揺と、「翔真がぼくの目を捉えた」という大きな感動からでしょう。

人間、予測していなかったことが起きると本当に言葉が出てこないのですねぇ。

そのまま、じっと彼を見つめ返すだけのぼく。

意を決して、自分と翔真を交互に指差しながら

せんせーとる?翔真とれる?

と質問します。通じてなくてもいい、せっかくもらえたこの視線を離すものかと、ぼくも必死です。

 

すると翔真は、小さな手の人差し指をぴんっと伸ばして、ぼくを指差したのです。

 

あぁ!!

あの、感動、胸が沸き立つ、心臓の奥から、熱い空気がぶわっと吹き込むような、あの、あの感覚!

 

翔真の意図はわかりません。ぼくの動作の反復かもしれません。しかし、確実に、ぼくが彼の世界に入れた瞬間を実感したのです。

彼の世界に入れている、彼は、ぼくを認識している。

なんて尊いんだろう。ぼくの存在を、彼の世界が、彼が認めてくれているなんて!

 

ぼくを捉えたその人差し指の先に、ぼくの人差し指の先を合わせる。

ちょん、と合わさるぼくたちの指先。

翔真はそれに、溢れんばかりの笑顔をくれました。

感動で胸が張り裂けそうで。こみ上げる涙を堪えるのでいっぱいいっぱい。せんせー完敗です。

 

君の世界に、入れてくれたんだね。

嬉しくて嬉しくて、身体が震えるほどでした。

  

~このまま③へつづく~

 

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