子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

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児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

幼児虐待、児童虐待の漫画を児童養護施設職員が読んだ感想

「漫画って演出控えめなくらいなんだねぇ」

昨今、子どもたちが被害者になる事件が多発しています。

性暴力や自殺などの凄惨な内容に、思わず眉間にシワを寄せてしまう。ニュースには「虐待」の文字が絶えませんねぇ。

 

児童養護施設では、そんな被害を受けて傷ついた子どもたちがたくさん過ごしています。

元々多い傷をさらに足し、まだ乾かない傷口な塩を塗りながら毎日を必死で生きている。

傷つこうが尚命を燃やす子どもに寄り添う、児童養護施設は砦として託された場所なのです。

 

ぼくたち職員は、施設に来る子どもたちの背景を知らされています。

受け入れの前に、子どもの状態を知り、事前に必要な支援を考えるためです。他にも理由はあるのですが、今回は割愛。

 

ぼくの読んだ漫画には、ぼくの知る子どもたちの背景がそのまま描かれていました。

漫画家さんの力ある絵も相まって、虐待の様子が非常にリアル。

漫画という物語だからって、大袈裟に脚色されたりしてないんです。本当に、現実の事件そのもの。むしろマイルドになっているくらいでした。

 

 ゴミ屋敷の山積みの中から、まるでゴミのように保護された子ども。

ゴキブリを捕まえて食べたり、トイレの水を飲んだりして生き延びた様子。

栄養失調で抜け落ちた髪の毛、浮き出る肋骨、何もかもを諦めたような表情。

裸で真冬の寒空に放り出された子、真夏に閉めきった部屋に閉じ込められた子。

食べ物が与えられないため、自分の尿や排泄物を口にし、感染症でさらに苦しむ兄弟。

帰らない母親をひたすら待つ小さな背中。泣きつかれた瞼に凍える肩、それでも信じて待つ心。

背中いっぱいの青アザ、頭皮の焼き印、熱湯による火傷の癒着痕。

支配され抑圧される欲求と、暴力に怯える家の中。

常に突きつけられる非情な言葉、当たり前のように浴びせられる罵倒。

怒鳴り声に恐怖し眠れぬ夜、守ってくれる腕のない悲しみや絶望。

両親からの愛が欲しくて、何度も何度も殺し続ける自分自身の気持ち。

閉ざされた心、成長を止めた身体に、歪な変化を遂げた思考。

 

己の全てを犠牲にして、それでも欲しい、唯一の愛。

 

そのどれもが痛々しくて、胸が引き裂かれる思いでした。

 

 

何より痛むのは、

これは、漫画の中だけの出来事ではないという事実です。

現実に起きていて、今自分の側に在る子どもの過去なのです。

そして、どこかで闘う子どもの今であり、これから涙する子どもを待ち受ける未来かもしれません。

 

でもね、

漫画と違うのは、ぼくが側に居られるかもしれないということ。

微力で未熟でちっぽけだけど、せっかく大人になったぼく。

愛しくて愛しくて仕方ない、子どもたちのために在りたい。

 

しかし、ぼく一人の腕では守れる世界が限りなく狭い。

零れる命を掬える範囲が、あまりにも狭すぎる。

 

皆さんにお願いがあります。

虐待は地域の方の通報で発覚することが多いです。

お散歩中のお父さんお母さん、スーパーのパートさん、コンビニの店員さん、同じアパートのお兄さんお姉さん、先生、近所の学生さん、

幼稚園、保育園、学校など、子どもの近くに居られる大人に、ぼくからお願いがあります。

このご時世ですが、自分の周りに生きる子どもたちに、目を配ってはいただけませんか。

苦しむ子どものために、苦しむ母親のために、苦しむ父親のために、救われる機会をください。

あなたに、救われるきっかけを作ってほしいのです。

匿名で通報ができます。調査員があなたのお宅へ伺ったり、記事にあげたりなど決して致しません。

個人情報をお気になさるのであれば、公衆電話からお願いします。

どうか、あなたの一声を児童相談所へいただきたい。

どうか、よろしくお願いいたします。

 

また、「児童相談所、児童養護施設に子どもを取られた」と絶望する保護者の皆様へ、いつかお手紙します。