子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

児童養護施設にて研修先で出会った自閉症親子の話

「ハル先生、ぜひ記事にしてください」

今回はハルブログにおける初めてのリクエストでございます。やったー!

とある研修にて、ぼくのブログをご存知の方がいらっしゃいました。
「もしかして、ハルせんせーですか?」
とお声をかけていただいてとても嬉しかったのをよく覚えています。

 

話しかけて下さったのは、上品な佇まいのママでした。その隣には、モジモジしながらチラチラ見てる男の子が。
「息子の竜一(りゅういち)です。自閉症で精神遅滞ですが5才です。よろしくお願いいたします」
ママはぼくに息子さんを紹介して下さり、ぐぐーっと息子さんをぼくの前に押し出します。


いやいや、ママ、ぼくが行きますから。
竜一くんの安全なところにいてくれればいいんだよ。
だって竜一くんの一番安全なところ、ママの後ろだって知ってるんだもんね。いいことだ。逃げ込める場所を見つけているね。

 

ぼくは、ママのスカートをつかんで隠れる竜一くんの近くに座り、手を差し出しました。
ぼくの名前は、ハルといいます。ハルくんと呼んでください。君の名前はなんですか?
自閉症の子は特に定型文を好むようだと気づいてからは、自己紹介だけこうしています。敵意がないとわかってもらえるといいんだけど……

 

ぴょこっと、片顔が出てきました。
さっきまで泣いていたのか、目が真っ赤。
聞きたい……いやでもいかん、
質問は、1つずつ、そして完結させる!です!


君の名前が知りたいな。教えてほしいなぁ~。竜一くん、どんなお声なのかなぁ……とニコニコ続けていたら、竜一くんは目をそらしたまま
「りゅういち、ごさい」
と言ってくれました。

 

ぼくの差し出した手を取ることはなかったものの、小さな笑顔と可愛い声をもらうことに成功!手を差し出す=握手したいっていう、意味がわかってなかったということもあるしね。


わぁ!竜一くんていうんだね。竜一くんからお名前が聞けてとても嬉しい!教えてくれてありがとう。ハルくんもう覚えた!りゅういちくんね!

ぼくが大袈裟に楽しそうに騒ぐと、竜一の笑い声を聞くことにも成功!よい顔を覗くことができました。自閉症でも軽度のほうかな?療育でもっと生きやすくなりそう。ママ、竜一、ファイトだ……!

 

ひととおり竜一くんと戯れられて、ご機嫌なぼくがママを見上げると、ママはハンカチで口元を押さえていました。

 

聞けば、「竜一が初対面の人と話すのを初めて見た」とのことで。
なぜかお礼を言っていただけたのですが、ここれはぼくの趣味というか、礼儀なので、竜一くんが成長しているという以外に説明ができません。竜一くん、竜一くんのママ、自閉症の子どもの成長は緩やかでゆっくり。そういう時間の流れる世界に生きているのです。

 

例えるならサッカーの得点。

 

定型発達の成長はスピーディーにコンスタントに見えがち。例えるなら野球の得点かな?
競技が違えば得点の大きさも変わるように、子どもの特性においても得点の項目、得点数が変わります。(野球や定型発達を貶める意味は微塵もありません。)

 

ゆっくりじっくりタイプの得点、1点取るのに時間がかかる!でもその1点がそれはそれはデッカイんですよ。子どもが必死にゴールを決める1点までの時間を、こちらもゆっくり気長に待つことで、子どもをどんどん応援しましょう。

 

竜一くんママ、リクエストをありがとうございました。またぜひお会いして、竜一くんの話、そしてママの話を聞かせてくださいね。
ぼくはいつでも、ここにおります。