子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

過去の傷やトラウマ、消えない思いと記憶に囚われたままのあなたへ

 

f:id:harusensei:20180403004936j:plain

 「あなたの手が掴めても、掴めなくても、ぼくはここにいます」

拝啓、あなた。

この手紙を見つけてくれてありがとう。

今から書くことは何だか気恥ずかしいし、見てほしいような見てほしくないようなそんな気持ち。

分かりにくいところに隠したつもりだったのに、さすがだね。

あなたに宛てた言葉たちを、届けたいような、届けたくないような。

やっぱり伝えたくて、でも伝えたくなくて、それでもなんとかこうして、文字にしています。

少しだけ、ぼくに時間をください。

 

さて。

 

ここまで命を生きてきて、その中で作られてきたあなたの心は、どんな形だろう。

 

どんな色をしていて、どんな手触りで、どんな大きさで……

重いかな、軽いかな。

少しの揺れでも壊れやすい?それとも意外と頑丈なのかな?

 

生きてきた長さの分だけ、苦しいことも、悲しいことも増えていく。

経験が多ければ多いほど心は敏感に、要らぬことにも気づいてしまう。

記憶は積み重なり、時に無くして、減ったり、増えたりを繰り返して。

忘れようともがいても消えてくれない過去とか、欲しくて手を伸ばしたのにすり抜けていった思いとか。

生きづらく終えづらいあなたの命が、記憶が、囚われたままの檻をぼくは探す。

 

自分に残された心の形は、何でできているのだろう。

 

眩しくて、目を閉じても明るいほどの夜明け。

電信柱に貼られた古いポスターが、はたはたとなびいている昼下がり。

何でもない机の落書きと、削りすぎた鉛筆。

機械のひしめく四角い部屋。

一番高いところから見下ろした背中。

戻らない春を叫んだあの日。

折り目のついてしまった写真に溢す雫。

結ぶには弱く織るにも頼りないほつれた糸。

雨の音がやけに響くひとりの夜、とかね。

 


生きている時間のなかで覚えていられたものが、心のかたち。

生きている時間のなかで刻まれた傷や記憶が、心のかたち。

今どんな形をしているの。

あなたの心は、どんな形をしているの。

 

ぼくは、あなたの心を知りたくて、ここにいます。

あなたが本当に居るのだと、実感し、共鳴して、奏でる音が、いつか網膜に焼き付いてくれと願っているのです。


これからのあなたの心を、ぼくの筆が彩れるといい。

閉ざしたままの格子戸の、鍵をつくって持っていく。

ぼくの心と、ぼくの言葉を二つ目の鍵として、あなたをとらえる何かを溶かして。

空に返してもいい。

土に蒔いてもいい。

風に舞わせてもいい。

そのまま飲み込んでもいいね。

 

檻の外を見たあとに、それでも檻に戻りたいのなら、あなたを守りあたためる毛布を。

どこにも居場所がないと嘆くなら、隣に小さな家を建てよう。


拝啓、あなたの心へ。

ハルより。