ハルです。
児童養護施設でせんせーをしています。
今回はTwitterに日々綴っている「児童養護施設の日常」のなかで、140字以上で書き留めておきたい出来事があったのでまとめてみました。
自分のための備忘録でもある。
毎日変わりゆく、変わらない子どもたちのカワイイ様子を、職員目線でお届けします。
※ツイートを加筆修正しています。
心に浮かんだことを声に出す力
広い芝生のある公園での出来事です。
休日だということもあって親子連れも多く、各々が楽しそうな声をあげながら遊んでいます。
その中に、可愛らしい子ども用ハーネスをつけた、2歳くらいのちびっこを見かけました。
ハーネスはみつばちの羽を模したデザインになっていて、カラフルで目をひきます。
ちびっこが元気に走り回るたびに、繋がるリードにくくられた鈴がリンリンと鳴っていました。
リードの先には、ちびっこのママらしき人がしゃがんでいます。
ぼくは(あんなに可愛いミツバチさん見たことない……世界で一可愛いミツバチ……)と内心感涙。
いくらカワイイ!!と思っていても、人の多いところでは、声に出すのを躊躇してしまいがち。
しかしその時、連れていたうちの施設の少年が大きな声を上げました。
「すごい!あの子まだ赤ちゃんなのに、お母さんを中心とした円が描けとるやん!あんなキレイでデッカイ円描けるなんて、大きくなったら大物になるで!」
ミツバチのちびっこに向かって、称賛のニコニコ笑顔つきです。
実はうちの少年、最近「コンパス」が大のお気に入り。キレイな円を書くことに関しちゃあ、もう黙っていられません(笑)
「ハルくん見て!あの子すごい、円!」
とぼくにダメ押し。
ほんとに、よく通るイイ声なんです、彼。
その声につられて、周りで遊んでいたみんなの視線が集まりました。
視線をちびっこミツバチさんに送ったみんなは、思わずニコニコ。
公園で遊んでいた子どもや、井戸端会議に勤しんでいたおばちゃんたちも、みんなが「かわいい!」「カワイイ大物だねぇ」「ほんとだ、円、すごい」と声に出し始めます。
それを聞いたミツバチさんママも、照れながらニコニコ。
ママがニコニコになっているのを感じてか、ちびっこミツバチさんもニコニコ。
ママの周りをぐるんぐるん走って、何周も何周も、キレイでデッカイ円を描き続けました。
うちの少年の言う通りだ。
ほんとだね、ニコニコの、いい円が描けてるねぇ。
心に浮かんだ称賛の声をそのまま上げられる彼を、まぶしく嬉しく思いながら、ぼくとミツバチママはニコニコ会釈を交わすのでした。