「そのときは、そのときにしか訪れない」
「ちゃんと歩いて!」
「うるさい!静かにしなさい!」
「変なことしないで!」
「そんなもん買わないよ!」
パパやママ、先生は叫びます。
大人も疲れて大変。叫びたくなる気持ちも、とてもよくわかる。
動物園や遊園地、ショッピングモールなど、家族連れが集まる場所ではよく見る光景ですね。
子どもたちと大人の歩幅と興味を合わせることは、実はなかなか難しい。
ちびっこは一生懸命大人について歩き、多すぎる刺激のなかで選んだ「興味」の行き先を、強い言葉にシャットアウトされてしまう。
悲しくて、やるせなくて、大きな声で泣いたりただをこねたりしてみるものの、余計に大人を困らせて怒られて……。
よくあることなのです、が。
あるたびに、ぼくの心はズキンと痛んでしまうのです。
人の集まる場所には刺激がたくさんあり、好奇心の塊である子どもたちは興味津々。
あちこち歩き回りたい。あれが触ってみたい。これが近くで見てみたい。
新しいことを知ったら、外であれこれ学んだら、大好きなパパやママにお話したい。先生に楽しかったこと、報告したい。
できたら、
パパに「そうだね」って言ってほしい。
ママに「よかったね」って言ってほしい。
先生に「いいねぇ」って言ってほしい。
品物に夢中なパパに、こっちを向いてほしい。
弟妹にかかりっきりのママに、少しかまってほしい。
いつもたくさんの中のひとりだけど、今日は先生から、自分だけに向けられた言葉がほしい。
カッコいいおもちゃだ!パパ見て!ここ動くんだよ!
キラキラしたビーズを見つけたよ。ママ見て、かわいいね!
宿題、ちょっと丁寧にやってきた。先生見て!きれいにできたよ!
転んでひざをケガしちゃった。いたいの。ここが痛い。
このアニメだいすき!真似してセリフを言ってみるよ、おもしろいでしょ?
上着が上手に着られなくてイライラしちゃった、ちょっと慰めて。
苦手なことも頑張って取り組んだの、小さなことだけど、褒めてほしいな。
子どもは、あなたの一言を待っています。
あなたの「そうだね」が聞きたくて。
あなたの「やったね!」が聞きたくて。
自分のなかの、少ない少ない語彙のなかから、その言葉を選んでいるのです。
大人も大変だよね。
子どものやることなすこと、イラッとすることもあるよ。
人間だもん、そりゃしゃーない。
いつも機嫌良くはいられない。
だけど、少しだけ飲み込んで、「そーねぇ」って、言ってあげてほしい。
あなたのために、選んだ言葉だから。
あなたのために、選んだ一歩だから。
「だめ!」や「やめなさい!」の前に、深呼吸して。
「そーね、すごいね、でもこれはダメよ、お店のだからね」って、教えてあげてほしい。
悪いことしたくて、そうしてるわけじゃないから。
大人を困らせたくて、そうしてるわけじゃないからねぇ。
周りの目が気になる?
大丈夫、周りの人も、そうして大人になった。
子どもの「興味」を許せない大人は、心が少し、辛いのかもしれないね。
あなたは、子どもの味方でいてあげなきゃ。
子どもにとっても、周りの大人にとっても、そして、あなたにとっても、子どもの言葉を冷たくあしらうのはプラスにならない。
だめ!の前に、深呼吸。
だーいじょうぶ、子どもに危険が及ばないのなら、他はどうにでもなるから!
子どもが選んでくれた言葉を、1度きちんと受け止めて、そこからよ。
頼むね。
子どもを頼むね。
ぼくもがんばるよ。