「いやぁ、ぼくはあくまでもただの男なんだよね」
性分化疾患(IS)を生きるぼくの体と心の性自認
皆さんご存知の通り、ぼくは体の性別が不完全なまま産まれてきた個体であります。
性分化疾患、ISなどと呼ばれているアレです。
詳しくは「性分化疾患 何」などで検索してみてね。
ぼくの基本ボディは男性です。
(恋愛対象は8割女性ですが、いうて人類であれば性とか何でもいいわぁ、というバチバチのパンセクシャルです。)
社会的にも、勿論男性として暮らしています。
しかし、人よりちょっと多目なX染色体の影響により多少の女体化が見られます。
具体的に言えば、
- 喉仏があまり出ず声が高めなこと
(電話では男性とわかってもらえない)
- 手足があまり大きくならなかったこと
(なぜか肩幅との比率が合わない)
- 身長が伸び悩んだこと
(これは性分化疾患関係ないかもしれない)
- 胸部の形状がやや丸く柔らかいこと
(ぼくの場合脱がないとわからないくらい)
- 体毛が薄いこと
(髭は勿論、脛や脇もあんまり生えてない)
などが挙げられますが、日常生活においてぼくはあまり困っていません。
性自認(心、精神の性)は99%男性なので、ぼくは自分を「男である」と明言しています。
残りの1%はたまに「俺は男女どちらでもないXジェンダーかも」と揺れる日があるので余地として残しました(笑)
自分を女性だとは思ったことないです。
「性分化疾患は第三の性」
なーんて言われることもありますが、ぼくの性は男性です。
性分化疾患ゆえに身体性は中性、性自認は男性、性的指向はパンセクシャル。
もちろん、性分化疾患のなかにも性自認はXジェンダーの方いますよ~。
しかし傾向として、性分化疾患の仲間たちは性自認は男女どちらかに分かれている人が多いですかねぇ。
世間のイメージ的には、体も中間なんだから性自認も中間でしょ!みたいな感じで思われがちだけど。
体の性別が男女に定まらないぼくに憧れを抱くXジェンダーの人
性分化疾患であることを伝えると、「いいなぁ」と言う人が稀にいます。
性自認が男女どちらかの性の方にはほぼ言われません。
Xジェンダー、そのなかでも「両性」に当てはまる人に多いです。
もちろん、両性の方全員が全員そうじゃないけどね!
彼らからするとぼくの体は、精神と身体の性別を合わせる必要のない理想のものなのかもしれません。
しかし、性分化疾患は疾患というだけあってね。
様々な機能が不完全であるということをちょっとだけ伝えたい。
ぼくは子どもが大好きで、本業は過去は教員だったし今は児童養護施設のせんせーなくらいなんだけど
自分の子どもはほぼ望めない。
内臓の作りがアマアマなので、幼い頃は特に虚弱体質で入院ばかりしていたし、性分化疾患がわかってからは検査ばかりの日々。
なぜか学校で大人に区別される自分へのやりきれないジレンマ。
同級生たちは「ハルは体弱いから優しくしようぜ」って感じでむしろ親切にしてくれてたが、
大人ぁ!心配してくれてサンキューな!でも!過度な区別を!俺は!望んじゃ!いなかった!!!
ぼく男なんだってば先生、着替えも男子と一緒でいいんよ。
でも先生の懸念や心遣いも感じてたから、個室ラッキー!と思うことにした。ポジティブは最強である。
プールに入れないのも、着替えが個室なのも、よく入院するのも、性成長が遅いのも、内臓の病気だからって説明していたなぁ。まぁ間違ってはないんだけど。
気圧や潮の満ち引きで何となく体調が変わったりもする。
毎日フィーバーしてるパーリーピーポーなホルモンバランス的なもんに、ブンブン振り回されることもしばしば。
性分化疾患の人、特に基本ボディ男性の人は発達に障害があることも多くて。それを大いに心配していた両親の背中も見てきた。
幸いぼくは、脳の機能に障害がない個体であったために杞憂で終わってはいる。(大人になってIQのテストもしてみたけど問題なかった)
そもそも、性分化疾患の子は傾向として短命なのだ。
大人になったぼくは、素晴らしくラッキーなのだ。
まぁごちゃごちゃ書きましたが、ぼくはほんと、あまり困ってはいないの。
性について悩むより、考えることもやりたいこともたくさんあるからね。
明日死ぬかもしれないこの体で一体何ができるのか、考えて生きるのが楽しいよ。
ただ、困ってはいないんだけど、
体の性が男女どちらかに決まっている人に憧れを抱いている。
そんな自分を、見過ごすことはできていない。
男女どちらかとして、完全に分化した身体はほんと、ほんとうに、奇跡だ。
ぼくにとっては、とても眩しい。
医者や学者、作家さんなんかは、不完全なぼくに何か光を見出だすのだろうが、完全である個体がぼくは眩しい。
「そういう人もいるんや、人体の神秘……!」って、感じてくれたあなた。
あなたに知ってもらえて、あわよくば性分化疾患について調べてもらえたりなんかしたら、ぼくは嬉しいです。