子どもが僕らを素敵な先生にしてくれる。

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児童養護施設、小学校、教育系大学、教育実習、療育施設などで経験した事柄を連ねる、徒然なるままにが過ぎるブログ

ぼくらのたからばこやさん

片付けが苦手な子には、ひとつの箱を家具として~児童養護施設にて~

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「床にものが落ちていなければ、片付いているとします」

 児童養護施設、子どものお片付け問題

児童養護施設では、たくさんの個性的な子どもたちが一緒に暮らしています。


子どもがたくさんいるので、その分物は多くなるし、部屋も狭くなる。

あまりの多さに本人も職員も管理しきれないから、無くしものも増えてしまう。

 


とにかく大切なのは、整理整頓です。

あと記名。

児童養護施設職員のポケットには、油性マジックが常にある。

無くしそうな小さなものにも、すぐに名前が書けるようにね。

 

話は戻って、整理整頓のおはなしです。


施設では、子どもたちに個室、2人一部屋、4人一部屋のように、それぞれ「自分の部屋」というものが与えられています。

自分の部屋の管理は、基本的に自分でやるのです。

掃除やシーツ換え、日用品の補充なんかが主な仕事。

 

自分の部屋では、床いっぱいにおもちゃを広げて遊ぶ子もいます。

片付けが苦手で、何でもぽいぽい置きっぱなしにしてしまう子もいます。

 

全員が心地よく過ごせて、無くしものが減る状態を作るために、職員はルールを決めています。


身の回りの片付けや、荷物の管理をしっかり教えたいから、という思いもあります。

K少年の片付けを憂う毎日と大人の会議

ある日、小学生のKくんが言いました。

 

「俺、片付け嫌だ。何やっても片付かん。何からやったらいいかもわからん。」

 


ぼくはハッとしました。

わかった、この子、片付け迷子だな!?

 

片付けが苦手な子は他にもたくさんいて、急遽職員で対策を練ることに。 

 

あーだこーだ、うーんうーんと唸りながらの会議です。


うん、あのね、大人の言い分はわかるよ。

そりゃ丁寧に整理整頓させたいよね。

背の順に本棚に並べさせたいし、出したものは一回一回、もとあったところに戻させたいよね。

そうだよね、うん、わかるよ。

 

でもぼく、それで子どもたちが片付け萎えしてると思うよ!!

 

ぼくは提案します。

子どもの紛失物が減って、部屋が整頓されているように見えれば、それでいいのでは?

 


会議の結果、ぼくの施設で、ぼくのいるグループでは


「床に何も落ちていない状態が、片付いているということだよ」


というルールに決まりました。

よしよし、ありがとう上司、ゴリ押してごめんよ。

 


片付けってどういうこと?

片付けって何すればいいの?

そんな子どもたちの疑問を感じ取ったぼくらは、

「片付け」という曖昧なだけの表現を避け

「床に物が落ちていない」という、具体的な状態を提示することにしたのです。

 

新たに設置されたお片付けボックスと使い方

「床にものが落ちていなければ片付いている」という、独自のルールを生み出したぼくたち職員。


ただ、さっきのルールを決めただけでは、

子どもたちの部屋の隅や机の上に、荷物の山ができるだけ。

 

そこで解決策として考え出されたのが、


「どんな荷物でも、大きな段ボール箱の中に入れるだけでOK」

という追加ルールです。

 

 

ひとりひとつ、大きめの段ボール箱を部屋の隅に設置します。

Kくんお片付けボックス、なんて名前をでかでかと書いてね。

 

子どもたちは「片付けしてね」と言われたら、とにかくその箱の中に荷物を入れる!

整理整頓気にせずに、とにかく入れるだけ!

箱の蓋が閉まれば、それで片付け完了ってなもんです。

 

試しに実施してみると、あーら簡単。


部屋はすっきり見えて、子どもの荷物も一ヶ所に集まるようになりました。


何か無くした!と思ったら、お片付けボックスをひたすら漁ると大抵見つかります。


本棚に綺麗に並べたり、面倒なおもちゃを仕分けをしなくてよくなったので、片付けの億劫レベルは下がりました。


億劫レベルが下がったことで、片付けへの印象もこれ以上マイナスになることはなく。


結果として、叱られる子どもの負担も、小言を言わねばならない職員の負担もぐっと減りました。

片付けの規制を緩めるルールを、新たに決める

荒業でしかない段ボール箱設置ですが、

これが大成功で、片付けの速度は上昇!

片付けの億劫レベルは下降!

片付けへの初動速度は加速!

子どもたちの無くしものは激減!

大人の小言という名の叱咤激励も激減!

 


既存の片付けの形にとらわれず、

箱をひとつ部屋に置くことを片付けとする。

 

そもそも目的は、「片付け」ではないですから。

紛失物が減り、整頓されて見えればいいのです。

 

これからも臨機応変に、子どもたちの気持ちに寄り添った空間を作っていきたいものです。

 


ちなみに、月に一度程の頻度で「箱の中身探検会」が行われます。

わー!お宝だ!飴ちゃんのゴミ!なんてこともまた、楽しいイベントとして工夫していきたいですねぇ。