「発達障害は天才だよ。自分の舞台のみで生きられる才能なんだわ」
自閉症、ADHD、アスペルガー、発達障害という言葉を一度は聞いたことあるんじゃないかな。
最近発達障害について、福祉関係以外にも教育関係で意識し出したので、学べる機会が一昔前に比べて格段に増えました。
いい傾向です。
人間は未知に恐怖を覚え、差別、偏見を生み出す生き物。
学べるということは、未知ではなくなるということですから、差別や偏見の減少に一因になっていると考えます。
でも、実際まだまだな気がする。
発達障害と呼ばれるものをマイナスのイメージで捉える世界ですから、そりゃ当事者の方やそれを支える方々は生きにくいはずです。
まず、生きにくい場所で生きるのをやめましょう。
ぼくらが生きてる世界は、主役は自分です。
自分や自分の大切な人が生きにくい世界は捨てましょう。
だって!あなたが!主役だぞ!
活躍できる舞台を自ら整える。これが育て方、育ち方のコツです。
ここで実際にぼくが担当していた子どもの話をおひとつ、紹介させてください。
発達障害のなかにこそ才能があり、天才は非定型な発達にしか生まれないということがよくわかるエピソードです。
その世界の主役、彼は自閉症です。
ご両親は共働き、パパもママも自分は普通学級で定型に育ち、身近に発達障害と呼ばれる人もいなかったそうです。
生まれた彼が自閉症だと知ったとき、最初は戸惑ったのだそうですが、
「世界で一番この子が主役!」
を貫いて生きていくと早くに決めた才能溢れるご両親です。
主役の彼は、ユウキくんといいます。
ユウキは最近、お兄ちゃんになったばかり。
まだ目も開かない弟が可愛くて可愛くて、毎日隙あらば寄り添っているのだそう。
ある日、いつも大人しいユウキがさらに大人しく、何か作業に没頭している時間がありました。
実は、お気に入りの服にお気に入りのスタンプをたくさんおしていたのです。
覚えたてのハサミで不器用ながら丁寧にちょきちょき、ちょきちょき。
服をちょうど前と後ろに半分に切り、生まれたての弟に前側をプレゼントしました。
ユウキのママはいいます。
「ユウキ、弟にぼくのすきなものわけてあげるね、って言うんですよ。ぼくはお兄ちゃんだからねって。驚きました。でもユウキの気持ちがただ愛しくて、散らかった部屋や服の残骸なんてもうどうでもよかった。先生、私が言うのもアレだけど、この子、天才ですよね、これ見てください」
ぼくは震えました。
ママが見せてくれたそれは間違いなく、こだわりの強い自閉症の彼が、何度も何度も着て来ていたお気に入りの服。
それをハサミで切って、弟に。
自分の好きなものを、大好きな弟に。
親御さんも「服を粗末にするな!」「変なことしないで!」なんて無下に叱らずに、この子は天才だ!と受け取り部屋に飾って。
それを教室に持ってきてぼくに見せてくれる。
非定型で非凡な天才の発達。
これに気づきさらに否定せず認め伸ばす親御さんの才能。
震える。
非定型は人と違う、必ず何かの天才だ。
必ず、何かの天才ですよ。
間違いないです。